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2022.06.01

back number 2022.6.1 昌和だより Vol.11『意外と知らない鉄(鋼)の材料と作り方』

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昌和だより Vol.11 昌和発條/サンエスばね
6月1日『意外と知らない鉄(鋼)の材料と作り方』

 

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こんにちは!
昌和発條製作所の羽根田です!

 

2022年、私たちが注目をせざるを得ないトピック、値上げ。
食品・日用品・電気やガス・ガソリンにいたるまで、あらゆるものが値上げされています。

 

その中でも私たち金属製品を扱う製造業にとって身近なのは、
鋼、SUS・ニッケルやアルミなどなど、原材料価格の高騰です。
弊社は”ばね”を作っている会社なので、これらの影響を避けられず、
最近ではお客様に価格改定をお願いする作業に追われる日々です。
今回はその中でも特に関連性がある材料の一つ、鋼についてお話していこうと思います。

 

鋼(はがね)とは、一般的に私たちの身の回りにある「鉄」と呼ばれているもののことで、
正式に鉄と定義されるものは、我々”ばね屋”でさえほとんど目にすることがありません。
炭素量が0.02%未満のものを鉄、0.02以上のものを鋼と言います。
鋼は強度や靭性、加工性を上げるために意図的に炭素量を調整しています。

 

ところで皆さんは、鋼が何からどう作られているかをご存じですか?
今回は意外と知られていないであろう、鋼の原材料と工程を調べてみました。
専門的な内容になりますが、知っておくと良いことがあるかもしれません。
また、そこから昨今の鋼価格高騰の要因を紐解くことができます。

 

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鋼の生産には大きく分けて”高炉法”と”電炉法”の二種類あります。
ここでいう鋼の生産とは、下記を指します。
・高炉法:鉄鉱石(てっこうせき)から酸素や不純物などを除去する”製鉄”、
 製錬(不純物を取り除く)・成分を調整する”製鋼”の2工程から作られる。
・電炉法:主に鉄スクラップを再利用して鋼を取り出し製錬・成分調整して鍛造する。

 

【高炉法】
・主原料である鉄鉱石
・燃料であり鉄鉱石に含まれる酸素を取り除くコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)
・不純物を取り除くための石灰(石灰石・生石灰等)
 

まずこれらの原料を”高炉(溶鉱炉)”に入れ、空気を吹き込み酸素などと反応させ、
熱や窒素、一酸化炭素、CO₂、水素などを含んだ高炉ガスを生じさせます。
この反応が熱源となって鉄鉱石を溶かし、同時に酸素を奪っていきます。
(コークスが炭素の塊なので酸素と結びつくわけです)


その際、鉄鉱石に含まれたシリカやアルミナなどの不純物とコークスの灰分、石灰とが結合します。
結合物は密度が銑鉄より小さくて浮いてくるので除去が容易で、これを”高炉スラグ”と呼びます。
熔解し、酸素を奪われた鉄鉱石は”銑鉄(せんてつ)”と呼ばれ、炉の底から取り出されます。
ここまでの工程を”製鉄”と呼び、これが鉄の酸化を防ぎ、強い鉄を作るのに欠かせないそうです。
 

その後の工程である”製鋼”では、出来上がった銑鉄(せんてつ)と生石灰等を”転炉”という炉に入れ、
高圧の酸素と吹き込み、先ほどの製鉄の工程で銑鉄に溶け込んだ炭素、
シリコンやマンガンなどの不純物を燃焼させます。
その時に生まれる酸化物と石灰が化合したものが”転炉スラグ”になり、取り除かれます。
この”製鋼”で銑鉄を製錬し、これで鋼の完成です。

 

この製法の強みは加工性の高い高品質な鋼が生産されること、
製造工程内で発生する一酸化炭素を燃焼させ火力発電を行えることですが、
大きなデメリットとして温室効果ガスを多く排出してしまう課題があります。
鉄工業のCO₂排出量は年間約1.6億トンにもなり、これは国内全体の約14%にあたる莫大な量です。
その約9割がこの高炉法での排出と言われています。

 

【電炉法】
鉄鉱石ではなく鉄スクラップを利用する電炉法は、
原料の鉄スクラップ・銑鉄・合金鉄等の量を製造する鋼の種類に応じて配合、
その後電炉で溶解させ、精錬で合金鉄や石灰を添加した後に鍛造していきます。
そもそも高炉法に比べると工程が少なく、工程で発生する温室効果ガスの量が約1/4になることや、
資源を再利用できる点から年々需要が高くなっており、間違いなく今後どんどん増えていく製法です。
しかし、日本ではまだ高炉生産が圧倒的に多く、電炉での生産はまだ全体の約1/4だそうです。
EUでは約4割、米国では鉄鋼生産のうち約7割が電炉生産だそうで、
環境保護の視点から、日本も電炉生産への転換を加速させることは今後必須になってきます。

 

さて、鋼価格の高騰という話に戻りますが、
高炉法での鉄鋼生産に必要な鉄鉱石と石炭(コークス)の価格や
電炉法で使う鉄スクラップの価格が高騰しており、
それらが鋼価格に添加されている、というのが主な原因というわけです。

 

次回は、それらが高騰している背景をお話をしていきたいと思っております。

 

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CWS(コイルドウェーブスプリング)
~工数削減・製品の小型化に貢献~

 

CWSとは、平線材を連続した波形状をつけながらコイリング成形した圧縮ばねのことです。

 

【特徴】
■コイル円周上に平均して荷重を受ける構造なので、上下平行で安定した“たわみ”(ストローク)が得られます。
■通常の圧縮ばね(押ばね)よりも荷重がはるかに大きいので、取り付け高さを低く設定することが可能。
 製品の小型化・軽量化に貢献します。
■大きいストロークよりも小さなストロークや静的使用に向いている製品です。

 

▼続きはこちら▼
https://www.ipros.jp/product/detail/2000560207

 

現在は特注品のみの対応となっておりますが、
今夏~秋頃にサンエス標準バネから新ラインナップに加わる予定です!

 

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当社は “簡単に「できない」とは言いません” をモットーに
日々、お客様のご相談に対して一生懸命対応させて頂いております。
お困りごとがございましたら、お電話頂くか、
本メールにご返信頂く形でお気軽にお問い合わせ下さいませ。

 

宜しくお願い致します。

 

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※このメールは、弊社営業担当とお名刺を交換頂いた方、
 展示会、セミナーでアンケートにお答え頂いた方、
 資料請求やカタログダウンロードをして頂いた方へお送りしております。
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